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それぞれ大文法理論として、英文を観察するときの流儀と手法と観察視点が違うのである。
接続法や仮定法の「法」(moodムード)という文法理論と、「格」(case,ケイス、あるいは文型)という文法理論、それから「時制」(tense,テンス、あるいはaspect,位相)という3つの文法は大きくすれちがいながら立体的に重なるのである。
これらとは別に、さらに、「品詞分類法」という文法理論がある。
これは前三者とは、また、まったく別物である。
こっちは、「ひとつの英文の中の(単)語word全てのひとつずつ」を、あらかじめ『品詞』(parts of speech, パーツ・オヴ・スピーチ)という考え方によって、それぞれの語に対して品詞名を、予め決定し、「これは、名詞だ、形容詞だ、冠詞だ、前置詞だ、と分類しておく」文法理論である。
輸入英文法の混乱これらの「法」系や「格」(文型)系牛、「相」(時制)系、そして「品詞分類法」系の、もともとそれぞれ別個だった文法理論を、明治時代の日本人学者が全部いっしょくたに、全部でひとまとめにして英語(あるいは、ヨーロッパ語)の文法学だと思い込んでゴチャ混ぜにして輸入してしまった。
そうではなくて、これらの文法理論は、実は、それぞれの歴史的背景のある別々の大きな文法学派を1000年にわたって作ってきたのである。
それを、日本に輸入したときに、全てひとつに融かし込んでひっくるめて、さらにその上から、の品詞分類法という機能主義一点張りの近代理論フランスのポール・ロワイヤル文法学のように、絶対主義absolutismと国民国家nation state論の上に立つことによって上からロニラーをかけて平たく引きのばしてしまったのである。
だから、日本人にとってのヨーロッパ文法学というのは、平面的にどこまでも専門用語がつづくガラクタの寄せ集めにしか見えないのである。
生きた英文(英語)というものは、私の考えでは、本来、を軸にとる立体的なものである。
このことを図示すると次ページのようなビジュアルな立体図式にすることができる。
これは、生きた英文というものを「法」「格」「相」この「相」は、アリストテレス系ギリシャ古典哲学でいう「質料」(hyle,P家の建築材料のようなもの)に当たるーの3軸でとらえた場合の立体図式化の試みである。
このように、生きた一個の英文を、どのように全体像(ギリシャ古典哲学の「形相J eidos,エイドス。
家そのもの」としてとらえるべきか悩んだのち、私は立体モデル化を試みてみたのだ。
それぞれの軸を成すそれぞれの文法学が歴史的に学派を作って互いに対立しあってきたのである。
そして、4番目の、「品詞分類法学」という考え方が、ヨーロッパの各国の国民言語の分裂12世紀に俗(バルガー)・ラテン語が興った後、フランス、スペイン、イタリア3国の庶民の間で、徐々に互いにコトバが通じなくなった。
イギリスやドイツなどは、ゲルマン語系だから、既にもともと通じない。
ヨーロッパ全土の知識人たちだけが、18世紀までラテン語を話し、ラテン語の手紙で連絡を取りあった。
17世紀ごろ新しく起こって、これで、どうやらその前の3つの大きな理論を、各国それぞれに勝手にまとめて、それぞれの「国語」文法理論をつくっていったのである(品詞という考え方自体は、古代ローマからある)。
だから、同じヨーロッパ語だから大筋では同じ考え方に立つが、この時期から、独・仏・英それぞれ微妙に文法学用語が分裂していった。
先述した「仮定法」(英語)と「接続法第二式」(ドイツ語)と「条件法」(フランス語)のように。
そのうち、このの品詞理論なるものは、「これは名詞だから主語になれる」とか「形容詞だから補語になれる」とか「このthatは、接続詞ではなくて関係代名詞だ」「これは動名詞であって現在分詞ではない」というような、没論理的な決めつけのはなはだしい、頑固頭の、本末転倒した理論である。
品詞名は、その単語がその文中で果たす役割に応じて結果的に決められるにすぎない。
それを、この品詞分類学派は頭から全てを固定して決めつけた。
その揚げ句、自らの内部で山というほど理論矛盾と混迷を生み出して錯綜を極める愚かな分類理論となり果てた。
「このwhatは、接続詞とも代名詞とも疑問詞ともとれるなあ。
ああ困った」ということになってしまったのだ。
フランス構造主義の哲学者M・Kが喝破した「分類する権力」である。
ヨーロッパ近代社会とは、ひたすら分類し、区別し、差別(差異化)するシステムである。
そして、そのことのために「文法学(コトバの正しい使い方)」は、文法学者たちの秘技と化し、「学問」となり、一般国民の言語生活とは無縁のものとなり果ててゆく。
私は、「品詞分類法」学というのは、一番つまらない取って付けたような文法理論だと考えている。
学者たちが、バカげた職業的コトバ遊びをするのにはおもしろいたろうが。
それよりも、「文と文のつながり方」を中心に考える「接続法」がやはりすばらしい。
この接続法の中の重鎮である「法」(mood,ムード)は、古式ゆかしい華麗なる大文法理論である。
だから、l think that……「~と私は思う」の「that以下の節」のような典型的な接続詞のthatの文も、関係代名詞who, which, what等によってつながる文も、whenやbecauseやifなど各種の接続詞でつくられる副詞節の使い方も、これら全て本当は、接続法である。
ドイツ語文法では、「仮定法」のことを「接続法第二式」と呼んで、動詞がすべて特殊な語形を持ち、ふつうの表現とは独立した世界をつくっていると前述した。
接続法第一式の方は、上記のthatの用法や、関係代名詞whichなどであり、文と文がつながってゆく造文の仕方のことである。
これらを全てまとめて、接続法(コンジャンクティヴ)というのであり、全ては、「部分文と部分文のつながり」、すなわち、「文と文がどのように前後でつながりあうか」という、大きな考え方をするので、「接続」法なのである。
したがって、直説法(実数世界)・仮定法(虚数世界)というのも、大きくは、この接続法の一種であり、そのような「文と文のつながり方」から見た場合のコトバの研究ということである。
たとえば、私たちは、高校の漢文(日本化した古代・古典中国語。
現代中国語の勉強とは、わざと切断してある)の授業で、「将(まさ)に~せんとす」とか「況(いわん)や~をや」とか「須(すべから)く~すべし」というような型にはまった優雅で定型的な表現法を習った。
その影響を数千年に渡って受け続けたために、日本語にも、それらに似た表現法がある。
「とっても~びっくりした」とか「まさか~のはずがない」とか「まるで~のようだ」「どうしても~したい」のような「かかり・結び」と呼ばれる一連の定型的リズムを持つ呼応したコトバ使いである。
強いて言うと、英語(ヨーロッパ語)の接続法というのは、このような、日本語の表現法とよく似たものだろう。
いや、きっとそうだ。
英語(ヨーロッパ語)と日本語を統一的視点から見るという私の強固な立場からすれば、このような考えになる。
「どうしてそんなことを考えるのか。
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